09.27
三星染整株式会社の染色・整理加工受託事業を終了し、M.S.L.(ミツボシ・サステナビリティ・ラボラトリー)を開設します。
三星染整株式会社は、1931年の設立以来88年間に亘り、染色・整理加工の分野において受託事業を展開して参りました。これもひとえにお客様をはじめ関係各位のご愛顧、お力添えの賜物と深く感謝申し上げる次第であります。
しかしながら、生活者のライフスタイルの変化や深刻化する環境問題への対応、それに伴うエネルギーコストや原料/副資材の高騰や少子高齢化による担い手不足を鑑みると、これまで通りの大量生産大量消費を前提とした事業運営を継続することは困難な状況です。
このような状況から、誠に遺憾ながら現在の事業は歴史的な役割を終えたと判断し、染色・整理加工受託事業につきましては2019年9月27日をもって操業を終了いたしました。
従業員につきましては、グループ内転籍希望者は三星毛糸および三星ケミカルへ受け入れ、転職希望者については同業のみならず異業種も含め計10社と提携し、社内説明会の開催/会社見学および面接サポート等を行いました。三星染整は会社としては存続し、今後、残務処理を進めていきます。
また、上記と並行して、染色・整理技術を持つ中堅社員と共に、M.S.L.(ミツボシ・サステナビリティ・ラボラトリー)を三星毛糸内に設立します。当初は、国内外の持続可能性に関する技術情報のリサーチを行うと共に、三星染整の持つ特殊加工技術(ナッピングによるウールのファー加工、原木染めや草木染め、アザミを使った起毛加工など)を活用したスペシャリティ・テキスタイルの開発を行う予定です。
取締役会長 岩田和夫
長年に亘り、三星染整をご支援・ご愛顧頂き、お客様を始めとする関係先各位には本当に感謝しております。誠にありがとうございました。私がこの繊維業界に入って60年近く経ちましたが、本当に良い時も体験させて頂きましたし、そこから業界全体が縮小していく辛い時期も経験いたしました。紡績工場の閉鎖や染色整理工場の統合など、思えば私の仕事人生の半分は「閉じる」ことだったかもしれません。しかしながら、「人様へのご迷惑を最小限にする」という信念のもと、なんとかやりきってきたことに誇りのようなものも感じています。社長を中心とする次世代のメンバーが、この想いを共有してくれたことに感謝します。
工場長 小田秀人
高校卒業後に九州・五島列島からやってきて以来、三星一筋の人生でした。夜間の大学にも通わせて頂きながら、日本の経済成長に伴って「やってもやっても仕事が終わらない」という熱狂の中で青春を過ごせました。様々な機械に触れ、モノを作るだけでなく、自分たちで機械を加工したり、開発したり…しかしながら近年は、「量を追う=コスト削減を追求する」というグローバルな競争環境の中で、この工場の歴史的な役割は全うしたと感じます。操業停止後も、残務処理にあたっては社長をサポートしていきますし、M.S.L.の活動については、私が培ってきた知識や技術はしっかりと伝承したいと思っています。
代表取締役社長 岩田真吾
これまで長きに亘り三星染整を支えてくださったお客様・お取組先様・従業員の皆さんには感謝しかありません。本当にありがとうございました。今回、この決断に至るまで「経営者の役割とは何か?アトツギにしかできない仕事とは何か?」と、何度も自問自答いたしました。そして、その一つが「時代を見据えた事業領域の選択」であるという考えに至りました。繊維産業には今、「持続可能性」という大きな課題(と大きなチャンス)が目の前に迫っています。三星グループのチカラをそこに集中する。その為に一度、自分たちの仕事を整理整頓する。厳しい意思決定ではありましたが、従業員の皆さんに支えてもらって、この日を迎えることができました。繰り返しになりますが、ありがとうございました。M.S.L.についてはこれからのチャレンジとなります。大きなテーマなので、自社内に閉じこもらず、積極的に業界内外の方々とコラボレーションしていければと思います。